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ケーススタディ  南日本新聞 夕刊休刊にみる時代対応(編集中)

LAST UPDATE:Tuesday, April 14, 2009

1  夕刊休刊の経緯      (編集中)

 鹿児島県を地盤とし,発行部数37万部の地方紙 南日本新聞が2月末で夕刊を休刊とした。県内の世帯普及率5割に達する有力紙の夕刊撤退は業界に与えた衝撃は大きい。原材料費の高騰に加えて購読数の減少,広告収入の減少という三重苦を理由としており,新聞業界を取り巻く環境は厳しさを増している。

 なお,地方紙の2006年6月と2008年6月の販売部数の増減比較によれば販売部数減少のベスト3が宮崎日日新聞(-5.81%),南日本新聞(-5.09%),熊本日日新聞(-4.45%)と宮崎県,鹿児島県,熊本県の南九州エリアの3県の地方紙である。
 
 南日本新聞の夕刊廃刊(休刊)は,同社が理由にあげる「原材料費の高騰に加えて購読数の減少、広告収入の減少」が,問題の根源ではない。問題の本質は,<ライフスタイルの変化、メディアの多様化>に象徴される時代変化にある。

  南日本新聞社もこれを認識し,ホームページで,<新聞という「紙」による事業を経営の中核に据えながらも、情報を伝える手段が多角化していますので、ホームページの充実やデータベース事業、電子メールサービス、全国新聞ネットなどの分野にも積極的に取り組んでいます。>と,長期的展望をしている。




 週刊ダイヤモンド」08/12/06号の記事によると,地方紙の2006年6月と2008年6月の販売部数の増減比較によれば,販売部数減少のベスト3が宮崎日日新聞(-5.81%),南日本新聞(-5.09),熊本日日新聞(-4.45%)と宮崎県,鹿児島県,熊本県の南九州エリア3県の地方紙です。この現象は,何を意味するのでしょうか。

 なお,3紙とともに県内普及率は40%台で圧倒的シェアを持っています。特に鹿児島にある南日本新聞は48.81%と,第2位読売新聞の4.28%を大きく引き離し,絶対優位を確保しています。ちなみに,九州圏にあっても西日本新聞(本社 福岡)の減少率は,-0.84%と南九州エリアの3紙と比べて微少です。

▼地方紙の販売部数減少 ベスト3が南九州エリアの新聞
1 宮崎日日新聞  218,648  −5.81
2 南日本新聞   377,145  −5.09
3 熊本日日新聞  353,399  −4.45
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       ・
       ・
21 西日本新聞  841,629  −0.84
   
                          ◆出典 「週刊ダイヤモンド」08/12/06号
                                   読売新聞− 都道府県別販売部数

 
              ◇                          ◇

1−1 休刊廃刊は全国的な動き


 福島県では福島民報と福島民友新聞が夕刊廃刊に踏み切っている。昨年夕刊を廃止した新聞社は、毎日新聞社が北海道内での夕刊を8月末に、東北地方で最も長い歴史を持つ秋田魁新報が9月一杯で、そして10月には創刊62年の夕刊紙、名古屋タイムズが休刊しており、夕刊の廃刊は全国的な動きとなっている。

 さらに,地方紙でも経営状況が比較的よいと言われてきた南日本新聞までが2月末で夕刊廃止に踏み切るという状況である。南日本新聞は、休刊の理由として発行部数や広告収入の減少、用紙代など製作コストの増大などを挙げている。

▼鹿児島市内を中心としたエリアで夕刊を発行
 南日本新聞は完全セット販売ではなく、鹿児島市内を中心としたエリアで夕刊を発行。発行部数は朝刊部数(40万部)の6%程度。料金はセット版が3567円(1カ月)で、朝刊のみが3007円なので単純計算をすると毎月560円で夕刊が宅配されていた。

  
               ◆    ◇     ◆      ◇
 
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 │●南日本新聞の夕刊休刊に関する社告の要点 ( 08/12/1 付 ) ●
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 │          読者の皆さまへ 夕刊を来年2月末で休刊します
 │   …………………………………………………………………………………………
 │南日本新聞社は2009年2月28日(土曜日)付で夕刊を休刊いたします。読者の皆さまに長年にわたり
 │親しんでいただいてまいりましたが、夕刊を取り巻く環境は厳しさを増し、これ以上発行し続けることは困 
 │ 難と判 断いたしました。まことに心苦しい限りですが、ご理解を賜り、引き続き南日本新聞朝刊をご愛 
 │た読いだきますようお願い申し上げます。
 │ライフスタイルの変化、メディアの多様化などに伴い本紙夕刊の発行部数は漸減し約2万3000部となり
 │、 広告収入の減少も続いてまいりました。ここにきて、用紙代など新聞製作コストが上昇、内外の景気低
 │迷で広告需要がさらに落ち込む様相をみせています。
 │夕刊の発行については地域に根ざす報道機関の使命として、これまで随時紙面改善を行い、社内の業
 │務見直しや合理化、人件費や経費の削減などできる限りの経営努力を続けてまいりました。しかし、収支 
 │の改善に程遠く、休刊の決断にいたりました。
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1−2 南日本新聞社の長期的展望(同社HPより)


 南日本新聞社は南九州地域の情報中核センターとして1999年3月から霧島市で分散印刷を始めたのに続き、2001年2月には本社も鹿児島市易居町から同市与次郎に移転、生産設備を一新しました。読者・広告主から要望の強い増ページやカラー面の充実など紙面づくりの設備を増強するためで、最新鋭の輪転機などを設置しました。分散印刷は地震、台風、豪雨、火山爆発の災害など非常時に強い印刷・輸送体制の確立を図ったためです。また、2008年3月にカラー輪転機が増設され、朝刊は全40ページのうち全面カラー16個面の印刷が可能になりました。

 新聞社の生命である正確で速くキメ細やかな情報の入手のため、取材力の強化に常に努力しています。地域の人々との情報の相互交流に力を入れ、地域に根差し、地域とともに伸びる新聞社という経営理念は不動です。

 新聞という「紙」による事業を経営の中核に据えながらも、情報を伝える手段が多角化していますので、ホームページの充実やデータベース事業、電子メールサービス、全国新聞ネットなどの分野にも積極的に取り組んでいます。
 地球全体(グローバル)と地域(ローカル)と、グローカルな視点からの紙面づくりは、当社の変わらぬ基本姿勢です。

      

4/12 南日本新聞の夕刊休刊 4−ケーススタディ 時代変化への対応

4/1 南日本新聞の夕刊休刊3− 時代変化への対応

3/31 南日本新聞の夕刊休刊 2−ケーススタディ 時代変化への対応・1

3/30 南日本新聞の夕刊休刊−